『大作曲家の作品アナリーゼ① ~水の戯れ(ラヴェル)~』
ラヴェル『水の戯れ』をアナリーゼする様子を非常に詳細に記録した書籍。
作曲を志す人にとっては垂涎モノの貴重な教材。
特に後期ロマン派や近代フランス、あるいは国民楽派の作品のアナリーゼになると四苦八苦する方が多く、自分で理解すら出来ないものを使いこなせるはずもないため、本書はそのような方の役に立てばと思い、まずはラヴェルの水の戯れの著作権切れの楽譜を使って和声的なアナリーゼを書かせて頂いた次第です。 (中略) 一曲を通してすべてにポピュラーのコードネームやディグリーや調判定、そして使われているテクニックを完全に解説し、自分でも応用出来るレベルで楽曲解析している本がないため、本書のような内容の本が社会の役に立つのか?ニーズがあるのか?今のところわからないままですが、面白そうだなと思った方は是非流し読みでも構いませんのでご覧になって下されば嬉しく思います。
本書「はじめに」より
chant.iconものすごく役立っています!
ラヴェル『水の戯れ』
https://www.youtube.com/watch?v=RcqLGSQdL7I
使われる手法(引用)
3度を避けた4度、5度堆積中心のボイシング。
古典的なV→Iを避けたがる。しかし各部位の終止など要所要所では使う。
導音の半音上行を避けたがる。
和音が3度で移り変わる和声進行を好む。
全体を通してショパンの流れをくむピアニスティックな難技巧フレーズ。 クラスター(2度ぶつけ)の和声
全体的に高音域の和声配置が目立つが、ピアノの全鍵盤を使うかのような極端な音域の対比が目立つ。
保続音の使用では不協和が強くてもそれを許容する
反復進行の活用
付録は2つ。どれも内容は濃厚で充実。
「自分の作品で応用するための練習」は、超実用的。
「コラム ~自力でアナリーゼしたい方のために~」
音楽の基礎知識を身につける重要性を説く。
また、音楽理論の基礎知識のペーパーテストが付録されている。
chant.iconクラシック音楽の理解のためには何を知らなければならないか、専門の学校で学べば教わるのだろうが、私のような素人には知る由もないので、勉強の指針になるこのような情報は非常に貴重。
テスト問題をざっと読んだ限りの印象は、問題文の意図する内容は理解できるが、解答はだいぶ怪しい(半分程度かな)、といったところ。つまり私は現在その程度の音楽知識しか身についていないわけで、テストをやるまでもないのだが、それでも今の実力を客観的に把握することは重要であるため、一度ちゃんと問題を解いておきたいところ。